乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
ED後。 ある日千尋が見たものは…。
千尋はその時、珍しいものを見た。
「うわーーー、寝てるっ」
たまたまアシュヴィンに書類を届けに来たのだが、当のアシュヴィンは椅子で熟睡中だ。
「起きない……」
いつもなら、誰かが近寄っただけですぐに目を覚ますアシュヴィンだ。
だが今日は一向に目を覚ます気配がない。
こうした時間にアシュヴィンが眠る姿は、初めてかもしれない。
(やっぱり疲れてるのかな……。)
表立っては出さないが、アシュヴィンの疲労は相当だろう。
平和を取り戻した今、アシュヴィンは皇として働く。
そして千尋の負担にならないように、常に気を配ってくれるのだ。
「や、すっかり休まれてますね」
「リブ……」
アシュヴィンに気を取られてて、リブがいたことにまったく気がつかなかった。
「やっぱり疲れてるんだよね……」
「ええ。でも、こうして人が近くにいて起きないのも珍しいですね…・・・」
リブも千尋と同じ感想を述べる。
側近であるリブの前でも、安心して眠っていないのだろうか?
「でも……妃様の前だと安心して休まれてるようです」
「え……」
「ようやく、陛下が安心して眠れるようになれてよかったと思います」
リブの言葉に千尋は、アシュヴィンの顔を見る。
いまだに眠っていて、起きる気配はない。
「では、失礼します。もう少しこのままに……」
「うん、ありがとう」
リブを見送ったあと、再び千尋はアシュヴィンの寝顔を眺める。
その顔は整っていて、でも少し眉間にしわが寄っている。
(もうちょっと、穏やかにならないのかな……)
アシュヴィンのことだから、夢の中でも仕事をしているに違いない。
そう考えると千尋も笑みが零れた。
「お疲れ様、アシュヴィン……」
「ん……」
アシュヴィンは不意に目が覚めた。
「眠ってたのか……」
椅子に座って寝てたせいか、身体があちこち痛い。
ふと顔を上げるとそこにいたのは……。
「千尋……?」
何故か千尋が机に突っ伏したまま、眠っている。
恐らく自分に用があったのだろうが、今はすっかり夢の中だ。
「まったく、こんなところで……」
自分も人のことを言えた義理ではないが、千尋の無用心さには少し心配になる。
アシュヴィンは千尋を自分の膝に乗せた。
だが、一向に起きる気配はない。
「俺も起きないとはな」
人の気配を感じずに今まで寝ていたのは、千尋だったからだ。
そのことに驚き、同時に嬉しくも思う。
身体も心も安心して預けられるのは、千尋だけだ。
「さて、どんな反応するか楽しみだな」
千尋が目を覚ました時に、この状態でいることにどんな反応をするだろうか?
怒るか、恥ずかしがるだろうか?
それでも、最後にはきっと笑っているのだろう……。
アシュヴィンはそんなことを思いながら、千尋をずっと見つめていた。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
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自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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