乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
政略結婚後。大ピンチに。
その時、完全に思考は停止した。
当の千尋は寝台に横たわっている。
千尋が見上げた先には、アシュヴィンがいて。
気がつけば、アシュヴィンに押し倒されている状況だった。
きっかけは本当に些細なことだった。
寝台に千尋が躓き、目の前にいたアシュヴィンを巻き込んだ。
その結果、この状況を招いていた。
政略結婚とはいえ、2人の間に男女の関係はない。
「あの……、アシュヴィン……?」
千尋はアシュヴィンに問うが、返答はない。
少し動けば、寝台の軋む音が聞こえる。
その音に千尋は動揺したが、アシュヴィンは何も言わない。
それどころか、アシュヴィンは真っ直ぐに自分を見つめている。
千尋はその視線を逸らす事も出来ず、アシュヴィンを見た。
知らずのうちに、アシュヴィンが先ほどよりも近くにいる。
同時に鼓動が速まり、体温が上昇する。
(やっぱり、そういうことなのっっ)
いくら結婚したとはいえ、千尋には心の準備が出来ていない。
そんな状態で身体の結びつきまでは、覚悟もなかった。
(どうしよう、どうしようっっ)
この状況では逃げる術がない。
(……逃げる?)
自分は逃げたいのだろうか?
目の前の男から。
自分の夫となったアシュヴィンから。
だが、その答えは自分にはわからない。
それとも身体を重ねれば、わかるのだろうか?
(でもでもっ。心の準備がっっ)
千尋は混乱して、どうしていいかわからない。
「――――クッ」
「え……?」
そんな千尋の緊張を破ったのは、アシュヴィンの笑い声だった。
「お前、面白いな。赤くなったり、青くなったり」
「なっ……!!」
アシュヴィンは堪えきれないように、思いっきり笑っていた。
千尋はさっきとは違う意味で恥ずかしくなる。
「あ……アシュヴィン!!」
「安心しろ。何もしないから」
そう言って、アシュヴィンはようやく身体を動かした。
「慌てる姿は面白かったな」
「ば……馬鹿!!」
千尋はアシュヴィンの余裕が悔しく、思わず近くにあった枕を投げつけた。
アシュヴィンは簡単にそれを避ける。
「何だ。だったら今からでも、相手をしようか?」
「…………!!」
その言葉に再び千尋は固まり、アシュヴィンが近づいてきた。
どうしていいかわからず、不意に目を閉じた。
そんな千尋の様子を見て、アシュヴィンは……。
「!!」
千尋の額に温かい感触があった。
それは、アシュヴィンの唇。
「全く隙だらけだな」
「~~~~っ」
千尋が顔を赤くしていると、アシュヴィンは身体を起こしていた。
「お前にその覚悟が出来るのを楽しみにしてる」
―――パタンッ。
扉が閉まる音が聞こえ、アシュヴィンが部屋を出ていった。
「あ……アシュヴィンの馬鹿っ」
千尋はそう口にするが、高まった熱は冷めそうにない。
しばらくは動けずにいた。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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