乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
荘介×信乃。 ホワイトデー。
ツイッターで『中世ヨーロッパではショコラは禁断の媚薬と珍重され、「ショコラは いかがですが?」が夜のベットへの口説き文句だったらしい』と聞いて。
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『信乃はいつも荘介にお菓子作ってもらってるんだから、たまには信乃もあげたら?』
ある日、そんな事を浜路に言われた。
「って言われてもなーー」
荘介にお菓子を作ってもらうのは当たり前になっていたし……。
自分からあげるという発想があまりなかった。
「うーーーん」
「信乃。眉間に皺寄ってますよ」
「わっ、荘介っ」
考えていたからか、荘介が近くにいた事に気づかなかった。
「どうしたんです?また……何か」
「そ、そんなんじゃ……荘介こそ何?」
「ああ。子供たちに持っていくお菓子を作ったので、信乃にも……と思って」
「え、お菓子っ!!」
その単語に即座に信乃は反応した。
目の前に数々のお菓子。
マフィンやクッキーなどが並んでいて、信乃の心が弾む。
「わ……っ」
「どうぞ」
「う、うん」
手を伸ばそうとして、ふとあることがよぎる。
信乃が何かをあげるより先に、また荘介から貰ってしまった。
「信乃?」
「荘介も食べたら?」
「俺ですか?俺よりも……先に信乃が……」
自分が食べるよりも先に荘介に勧めてきたので、荘介は驚いた。
何よりも信乃のために作ったから……。
だけど、信乃はそんな荘介の想いを知らずに勧めてくる。
「いいって。ほら、このチョコとか……」
「ちょ……信乃」
信乃はチョコを持って、そのまま荘介へと差し出してくる。
このまま食べろと半ば強引だ。
信乃の行為に、荘介は考えこむ。
「意味わかってます?」
「は?意味?」
「いえ……気軽にしないでくださいね」
「別に荘介以外にしないし」
「なら、いいです。じゃあ……頂きます」
「……っ」
荘介は信乃の手から、直接チョコを食べる。
その時に荘介の唇の感触が指に感じて、信乃は驚いた。
「そ……」
手を引っ込めたくても、荘介が手を掴んでいるので動けない。
結局は、荘介が食べ終わるまでそのまま耐えることになっていた。
「そ……荘介……」
「ん?何です?」
「…………」
絶対わざとだと信乃は荘介を軽く睨んだ。
だが、荘介は全く堪えてない。
「続きは夜ですね」
「え……夜?」
「その時に、さっきの意味を教えてあげますよ」
「え……うん?」
何やら企んでいる荘介に、信乃は首を傾げながらお菓子を食べ始めた。
~fin~
荘介✕信乃
すでに横になっている荘介のベッドに信乃も近づいていく。
「えーい」
「信乃、乱暴にベッドに乗り上げないでください。行儀悪いです」
大きく跳ねたため荘介が困惑していたが、信乃は特に気にしなかった。
だが、それが良くなかったのかもしれない。
「いいじゃん、べっつにーーーわっ」
「信乃!!」
大きく跳ねたのは信乃の身体も同じで……、何とか体勢を整えようとしても手遅れだった。
―――ちゅっ。
「っ!!」
「…………」
「…………」
その感触に戸惑い、互いに固まる。
先に冷静を取り戻したのは、荘介の方だった。
「信乃?」
「……ご、ごめ……」
身体を起こした信乃は、すでに顔が真っ赤だった。
自分がしてしまった行動に、パニックになっている。
その状態に荘介が吹き出した。
「何を謝るんです?」
「だって……」
半分泣き出しそうな信乃の唇に、荘介が触れた。
「こんなこと……俺だけにしてくださいね」
「荘介にしかしないよ」
「当然です」
「でも……何かこんな……ごめん」
こんなハプニングな形でするとは思わなかった。
「だったら、ちゃんとしましょうか?」
「え……うん」
荘介が身体を起こすと、手で信乃の頬に触れる。
「信乃、目を閉じて」
「う……うんっ!!」
ぎこちないながらも信乃は何とか目を閉じる。
荘介はその言葉通りに……すぐ行動に移していた。
~fin~
荘介✕信乃
信乃がタオルを被りながら、部屋に入ってきた。
「荘ーーー。風呂ーー」
「信乃……まだ濡れてます。ああ……風邪引きますよ」
「大丈夫だって」
信乃がベッドに座ると、荘介がタオルで信乃の頭を拭く。
そんな信乃は荘介のされるがままだ。
「そんな薄着で……」
「今日は別に寒くないって」
「そんな事を言って、すぐに風邪引くくせに」
荘介は自分に対して、過剰なほど心配症だ。
それは身体が弱かった昔があるからだけど……。
「今は村雨がいるから……大丈夫だって」
「…………」
それは他愛のない言葉だった。
だが、信乃のその言葉を聞いた途端、荘介の表情が変わる。
「荘?」
むき出しの腕に荘介が触れた。
それは悲しげに……切なげにも見える。
荘介は自らの口で村雨のいる腕に触れた。
そんな荘介の様子を、信乃はジッと見つめる。
「荘介?」
「村雨がいても……心配なのは変わらないんです。いえ……村雨がいるからでしょうか?」
確かに村雨の影響で、信乃の身体は健康そのものだ。
だが、その村雨で信乃が今後どうなるかはわからない。
「大丈夫だって、荘介。俺がそう簡単に死なないから」
信乃はポンポンと荘介の身体を軽く叩く。
そして、自信たっぷりな笑顔を向けていた。
その笑顔を見て、荘介の表情も和らぐ。
「全く信乃は、楽天的過ぎます」
「荘介が心配しすぎなんだって」
「誰のせいですか……」
荘介は呆れながらも、信乃へと上着を着せていた。
やっぱり荘介は過保護だなと……信乃は思う。
だが、それすらも信乃は心地よさを感じていた。
~fin~
荘介✕信乃
「信乃。俺にチョコをくれっ」
「は?」
現八に言われた言葉に、信乃は固まった。
ただならぬ現八の様子に、呆然としていたとも言う。
「今日はバレンタインだろ?だから……俺に」
「兄貴は黙ってろ!!」
現八が言葉を続けるよりも早く、小文吾が吹っ飛ばしていた。
2人のやり取りを見て、信乃は古那屋を後にする。
その中で、先ほどの言葉を思い出していた。
『バレンタイン……ね』
風習と走っているものの、いまいちピンと来ない。
毎年、浜路からは貰っていたし……。
それに……。
「お帰り、信乃」
「ん、ただいま」
屋敷に帰れば、当たり前のように荘介が出迎えてくれる。
それを日常として感じていて、いつも何も変わっていないことにホッとした。
食事が出るのを待っていると、荘介が何やら可愛らしいラッピングの箱を持ってきた。
「はいこれ。浜路から」
「……」
「今年は浜路は学校ですからね。取りに来るようにって言われました」
「これって……」
「薬膳チョコらしいですよ」
「……うわぁ…」
その名前を聞いて、信乃はショックを受けた。
最早、プレゼントの包みを開けることすらおぞましいというか……。
「食べるか……」
「そうですね」
せっかく浜路が作ってくれたものを、食べないわけにはいかない。
それは荘介も同じように思っていて、いわば毎年の試練になっていた。
そして、いつもの様に荘介が信乃の前にマグカップを置いた。
その中身はほんのり湯気が立っている。
「はい、信乃」
「ん、ココア?」
「ええ。少しでも中和されればと思って」
「されればいいけど……」
浜路のチョコを食べる前に、そのココアを口に入れる。
「甘い」
「良かった。今日はマシュマロを入れてみたんです」
「うん……これ好きだっ」
荘介が作ってくれるものはいつも美味しくて……幸せになれる。
甘いのは決してココアだけのせいではない。
「ほら、信乃の口の周り汚れてますよ」
「っ……」
荘介が信乃の口の周りをハンカチで拭ってくれる。
荘介が触れて、世話を焼いてくれる。
その瞳の奥が優しい。
「………」
ドキドキとした気持ちを誤魔化すように、信乃は再びココアを口にする。
信乃の口の中はいつもよりも……甘くなった気がした。
~fin~
荘介✕信乃
荘介の視線が痛い。
笑顔でなく、その表情はすでに怒っている。
つまりは、本気ということ。
「………」
「気づいた?」
「気がつかないわけないでしょう」
荘介は信乃の額に手をあてた。
「声は枯れ始めてるし、くしゃみはしてるし……微熱もあるようだし……」
「いや……ちょっと油断したかなって…」
「ちょっと?」
「う……ごめんなさい」
本気で怒っている荘介を目の当たりにして、信乃は謝るしかない。
そもそも、体調がおかしいと感じたのは朝だ。
だが、あえて気づかぬふりをして……外に遊びに行ってしまった。
汗をかいたのがいけなかったのか、急に寒さを感じて……。
身体の異変を感じた頃には、荘介に運ばれてベッドに寝かされていた。
そして、今はその荘介からお叱りを受けている。
元々、信乃の体調に過敏な荘介が怒らないわけがない。
「悪かったよ……」
「いくら健康な身体になったとしても、風邪を引く時は引くんです」
全ては過信だからこそ、起きたことだ。
信乃は反省するしか無い。
怒ってはいても、荘介は信乃の看病をしてくれるつもりのようだ。
「何か…欲しい物とかあります?ああ……食事はお粥ですけど」
「う……」
さらりと釘を刺される。
今日は逆らわないほうが……身のためかもしれない。
「荘介……、手貸して」
「手?」
「うん……握ってて……」
荘介が差し出した手を、信乃はギュッと握る。
その大きい手に、信乃はホッとした。
「俺が眠るまででいいから……」
「いいですよ」
荘介の方からも力をこめる。
人の温もりに少しでも触れていると……安心できる。
「いつも素直だといいんですけどね」
「……う」
「今日はもう……休んでください」
「うん……」
誰よりも安心できる人物が側にいる。
それだけで、信乃は安らぎを得て……幸せに浸っていた。
~fin~
荘介✕信乃
「ん……」
信乃が寝返りをうつと、思っていた温もりが無かった。
それに応じて、信乃は目を覚ます。
「――――荘介?」
隣で眠るはずの荘介の返事が無い。
信乃は眠いながらも、その目を開けて確認する。
ベッドにいるのは、自分一人だけ。
―――荘介の姿は無かった。
まだ、朝も早い時間なのに……。
信乃はベッドで体勢を変えて、寝直そうとした。
「どーせ教会だろ?」
あるいは、里見に呼び出されているか……。
それか食事を作っているか……。
そう思うのに……。
「………………」
信乃は眠気がどこかへ吹き飛んでしまい、眠れない。
ぱっちりと目を覚ましていて、身体を再び起こした。
―――荘介がいない。
目覚めていないことなど、今までもあった。
慣れているはずなのに……、どうしてこんなに……。
気になってしまうんだろう?
「信乃?」
「っ」
「珍しいですね。起きてたんですか?まだ早いですよ」
どこかぼんやりとしていた信乃に、いつの間にかいたのか荘介が声をかける。
その登場に、信乃は驚いた。
「どこ……行ってたんだ?」
「ん……ああ。ちょっと朝食の支度ですよ」
「……」
「まだ早いから……もう少し寝ていても……」
「……」
「信乃?」
信乃は俯いていて何も言わない。
そんな信乃に不思議に思ったのか、荘介がベッドに近づく。
「……っ」
信乃は近くに来た荘介へと、抱きついていた。
「信乃!!どうしました!?」
「何でも……ない」
「何でもないって感じじゃないですが……」
ただならぬ信乃の様子に、荘介は慌てる。
荘介は抱き返しながら、信乃の背中を撫でている。
「何か不安になったんですか?」
「……ちょっと、な」
1人でいたら、急に不安になって……寂しくなってしまった。
信乃は素直に口には出せないが、荘介には見抜かれているかもしれない。
「大丈夫ですから……ここにいます」
「うん……」
信乃の気持ちが落ち着くまで、荘介は力強く抱きしめていた。
~fin~
荘介✕信乃
朔の日は好きじゃない。
この日は……あれだけ騒がしい村雨も大人しいし……。
何より、荘介は眠っているからだ。
滅多なことがないと荘介は起きずに眠り込む。
以前、ちかげに襲われた時は血の匂いをさせていたし……。
四白が叩き起こした時もあった。
「…………」
信乃は眠っている荘介を見つめる。
こうして見ると特に変わったことがない荘介。
だが、四白と身体を共にするようになって、朔の日は眠るようになった。
原因がわからないだけに、不安が運ぶ。
その状態がすでに違和感がある。
「………」
「……荘」
荘介が眠っていると、どこか物淋しい。
自分の中でポッカリと穴が開いたようで…‥。
信乃は荘介が眠っているベッドへと潜り込む。
それでも、荘介は起きることはなくて……。
だから、せめてその身体へと寄り添う。
聞こえるのは……寝息と鼓動。
確かに……生きてる。
これからも……ずっと一緒にいたいと思ってしまう。
無理な願いだとわかっていても、願わずにはいられない。
「……ふぁ……」
荘介の体温を感じて、信乃も眠くなり始めた。
身体が重い。
何か乗っていると……荘介は目を開けた。
「……っ」
「んーー」
「―――信乃」
何故か信乃が自分の上に乗って、眠っている。
どうりで重いはずだ。
信乃は自分にしがみついて、眠っているのだから…。
信乃の身体をずらして、乱れていた布団をかけ直す。
信乃は気持ちよさそうに眠っていて、その寝顔に心休まる。
「……信乃」
常に一緒にいないと……ダメなのは自分のほうだ。
本当は常に側にいて、片時も離したくない。
自分だけを……見てほしい。
そんなこと……簡単には信乃に言えないけれど……。
いつ……何があるかわからないから……。
だから……今、この時を大切にしたい…。
「信乃……いい夢を」
荘介は信乃を引き寄せて、自分も再び眠りについていた。
~fin~
荘介✕信乃
「信乃…。もうすぐ朝ですよ」
「ん―――?起きる……」
荘介の言葉に、信乃はのそのそと起き上がる。
その動きはゆっくりで、全くの焦りもない。
特に何にもとらわれていない信乃は、日々の過ごし方は自由だ。
時に教会に行ったり、古那屋に行ったりとするが……。
『玉探し』があるからか、それ以外には信乃の行動は制限されない。
信乃自体が奔放だからかもしれないが……。
「ん――」
「ほら、起きるなら顔を洗って……着替えてください」
未だ布団からでない信乃に、荘介は呆れ果てる。
そんな荘介の視線を受けて、信乃はやっとベッドから起き上がった。
顔を洗って、着替えを始める。
荘介はその動作を何気なく見つめてた。
弱々しかった……信乃は、痩せ細っていた。
徐々に蝕む病魔に為す術なく、信乃は痩せていく。
それを近くで見ていた荘介は、痛々しいくらいに感じていた。
だけど……。
今でもその細さは……変わらない。
信乃がどれだけ食べ物を食べても、活発に動いても。
その身体は変化を見せない。
あの頃のままだった……。
「荘?どうかした?」
「いえ……」
動かないでいる荘介に、信乃は不思議に思ったのだろう。
着替えを終えた信乃が、荘介を覗きこむ。
「――――どうしたんだよ?」
―――その問いに答えず、荘介は無意識に行動に移した。
信乃の小さな身体を、自分の腕の中に抱き寄せる。
「そ……っ!!」
「……」
信乃は腕に込められた力が、どんどん力強くなっていくのがわかる。
まるで……その存在を確かめるように……。
信乃はそんな荘介の、されるがままになっていた。
「……」
「……」
「大丈夫だ……って」
信乃は荘介の背中へと腕を回す。
小柄な自分には広い背中を……抱き返す。
そしてポンポンとその背中を軽く叩いた。
少しでも安心してくれればいい。
その意味を込めて。
その信乃の動作に我に返ったのか、腕の力が弱まっていく。
「すみません……」
「別にいいって」
信乃は笑っていて、その中に大人の一面を垣間見た。
自分が不安な時…信乃はいつも感じ取って、その手を差し伸べて……救い上げてくれる。
それが……自分にとっての信乃。
それがどれだけ救いになっているのか……信乃はわかっているのだろうか?
信乃が荘介へと視線を合わせると、大きな声で告げた。
「お腹すいた―――っ」
「はいはい……すぐに用意しますから」
信乃の言葉で、先ほどの空気が一変される。
今日もまた……信乃と過ごす日が始まろうとしていた。
~fin~
荘介✕信乃
「は?」
「だから……荘介と犬の荘介、どっちがいいんだ?」
「何だ?その質問……」
古那屋に来てそうそう、信乃は現八に問われた。
「純粋な興味だ。俺はただ信乃の好みが知りたいという……」
「…………」
現八の言葉は意味不明だ。
人の姿である荘介も四白の姿の荘介も……どちらも荘介の一部で……全部だ。
だから、そんな質問は無意味。
「荘介は荘介。どっちがいいとかそんなのはない」
「………ふむ」
信乃の言葉を聞いて、何やら現八は考えている。
その言動が信乃にはよくわからない。
「そうか……。だったら、俺にも可能性はあるな。俺も半分は鬼だし……」
「は?」
ズイッと、現八が信乃へと近づく。
―――が、すぐにその身体は吹っ飛んだ。
「何やってんだ、兄貴!!!」
「あ、小文吾」
吹っ飛んだはずの現八は何事も無かったように、身体を起こす。
「邪魔するなよ」
「それ以上、信乃に近づくな!!」
「…………」
目の前で繰り広げられるやり取りに、信乃は呆れていた。
そんな信乃に、小文吾が振り向く。
「信乃、迎えが来てる。こっちはほっといてさっさと行け」
「うん」
小文吾の言う通りだ。
これ以上、よくわからない話に付き合う必要はない。
「ちょ……待て、信乃~」
「この……変態兄貴が!!!」
現八の悲痛な叫びと、小文吾の怒鳴り声を背に信乃はその場を後にした。
「――ああ。来ましたね、信乃」
「荘介」
古那屋へと迎えに来たのは、もちろん荘介だ。
自分よりも幾分高い荘介へと信乃は視線を向ける。
「小文吾さんたちは……?」
「ん、いつも通り言い合いしてる」
「そうですか……」
仕方ないですね、と荘介が呟く。
そんな荘介を見て、信乃は先程の言葉を思い出す。
『荘介と犬の荘介、どっちがいいんだ?』
―――そんなの、決まってる。
「……」
「信乃?どうかしました?」
「べーつにっ」
ギュッと荘介の腰へと信乃は抱きつく。
荘介は信乃の行動がわからないながらも、その身体を受け止めた。
「――どっちも、だ」
「何がですか?信乃」
「内緒」
「………」
「睨むなよ」
内緒にされた荘介は不満なのか、信乃を軽く睨んでいる。
でも、簡単に言うつもりはない。
「ほら、帰るぞ」
「はいはい」
信乃が荘介の手を引いて歩き出す。
荘介もその手のままに、歩き出していた。
~fin~
荘介✕信乃
「38度……か」
信乃は体温計を見ていた。
「やっぱり、風邪引いてるじゃん」
「大丈夫だと思ったんですが……」
荘介は信乃に強制的にベッドで眠らされていた。
荘介の顔を覗きこんで、信乃はジッと見つめている。
「大体、昨日の夜は微熱っぽかったし……」
昨日の夜はまだ平気だった。
寝てれば治ると思っていたのだが……。
だが、朝から確実に体調が悪かった。
荘介はあまり顔には出さず過ごしていたが、信乃には見抜かれた。
そして、そのまま寝かされている。
「信乃に伝染るから……そばに寄らないように」
「やだ」
「は?」
即座に否定され、荘介は困惑した。
「今日はここでお前が大人しくしてるか……見てる」
「大人しくしてますよ……だから」
「………やだっての」
「……………」
やれやれと……荘介はため息をつく。
一度言うと、信乃は聞かない。
信乃は一定の距離を保って、荘介を見ていた。
ずっと座り込んでいたら……信乃こそ風邪を引く……。
そう思うのに……。
目の届くところに信乃がいる事に、安堵する自分もいた。
ふと……目を覚ます。
薬が効いて大分寝ていたのか、窓の外は暗い。
「……信乃?」
一番に口にするのは……何よりも大切な者の名前。
我ながら、苦笑してしまうが……。
「ん……」
信乃はベッドに身体を預けて、突っ伏すように眠っている。
荘介はそんな信乃の頭を優しく撫でていた。
「全く……しょうがない人ですね」
あれほど、離れているように言ったのに……。
信乃はそれを守ろうとはしない。
でも……それが信乃だ。
荘介は信乃の身体を抱き上げると、小さな身体をベッドへと移動させる。
「んー……」
眠りが深いのか、信乃は目を覚まさない。
自分の隣で眠る信乃。
「そ……うすけ」
「信乃?」
「…………むー」
起きたのかと思ったが、聞こえてくるのは寝息だ。
どうやら寝言だったらしい。
「一体……何の夢を見てるのか……」
夢の中も……共にいるのだろうか。
そう思うと、嬉しくもあり……照れくさくもある。
「おやすみ、信乃」
どうか……いい夢を。
荘介はその願いをこめて、信乃の額へと触れていた。
~fin~
荘介✕信乃
信乃は無意識に自分に触れる。
それは内に秘めた潜在意識からなのかは……わからない。
その温もりに触れて、自分は自然と目を覚ます。
先程まであった眠気はどこかへと吹き飛んだ。
「ん……荘……」
はっきりとしない声で、信乃が自分の名前を呼ぶ。
目が覚めてしまったのだろう。
「信乃……どうしました?」
荘介は四白の姿のままで、信乃へと擦り寄る。
信乃は返事があったことに驚き、眠いながらも何とか口にした。
「起こした?」
「いえ……ちょっと前に目が覚めていました」
本当はもっと前に起きていたけれど。
そう言えば、信乃は気にしないだろう。
きっと、自分の言葉の意味は気づかれているだろうけど……。
信乃は無意識に、荘介の身体を撫でていた。
そんな信乃の様子に、自然と荘介は聞いていた。
「何か……ありました?」
「ううん……確かめてただけ……」
「そうですか……」
確かめる。
その言葉の意味を深く考えてしまう。
信乃は内に感じる不安を……自分に触れることで打ち消している。
それは信乃も意識していないかもしれない。
だけど――。
自分を求めてくれる信乃に……胸を焦がさずにはいられない。
もっと……寄り添えて……分かち合えれば……とすら思ってしまう。
それが永遠には叶わないとしても……。
それでも……今は……ここにいるのだから……。
「俺は……ここにいます」
「荘介……」
「だから……安心して……眠ってください」
「ん……」
ギュッと自分の身体を抱きしめる信乃。
信乃は目を閉じていて、すぐに安らかな寝息が聞こえる。
荘介はしばらく……その寝顔を見続けていた。
~fin~
荘介✕信乃
いつも……確かめる事がある。
まだ、外が暗い時間。
信乃はぼんやりと目を覚ます。
ぼんやりとしている中、いつものように確かめる。
「ん……荘……」
信乃がその名前を呼ぶと、ピクリと反応した。
「信乃……どうしました?」
信乃の眠るベッドで、四白の姿の荘介が返事をする。
そのはっきりとした返事に、自分は荘介の眠りを妨げてしまっただろうか?
「起こした?」
「いえ……ちょっと前に目が覚めていました」
ひょっとしたら、それは優しい嘘かもしれない。
だけど……その嘘に甘えることにする。
信乃は無意識に、荘介の身体を撫でていた。
そんな信乃の様子に、荘介は疑問を口にする。
「何か……ありました?」
「ううん……確かめてただけ……」
「そうですか……」
思わず……確かめる。
荘介がいる温もり、温かさ。
生きている……鼓動。
その存在を……信乃は確かめてしまう。
眠っている時に何かあったら……と不安を感じる時がある。
だから……確かめる。
荘介の存在を―――。
「俺は……ここにいます」
「荘介……」
「だから……安心して……眠ってください」
「ん……」
ギュッと荘介の身体を抱きしめる。
荘介の囁きに誘われるように……信乃は目を閉じていた。
~fin~
荘介✕信乃
「ん……?」
信乃が風呂あがりに髪を拭いていると、ふと荘介の視線を感じた。
「何だよ、ジッと見て…」
「いえ……ちょっと思い出していたもので……」
「何を?」
荘介が信乃の持っていたタオルを受け取って、信乃の髪を拭き始めた。
「信乃が長い髪の頃を……」
「あんまり好きでしたわけじゃないからなーー」
身体が弱かった信乃は、幼い頃は女の子の格好をしていた。
そうすれば、身体が丈夫になると……古くからの習慣で頑なに行なっていた。
弱っていく自分に……、果たして本当に意味があるのかと……考えた時もあったが……。
「どうして急にそんな話……?」
「信乃の……、長い髪は結構好きだったので」
「そうなの?」
「ええ……。信乃の長い髪は綺麗で……梳かすのが楽しみでした」
「そ、そうだったんだ………」
確かに昔を振り返ると、乱雑に扱う自分に対して荘介は丁寧に扱っていた。
それはまるで……宝物に触れるみたいに……。
「今ではその役目が無くなって……少し残念です」
「ふーん」
荘介の言葉に信乃は複雑な気持ちになった。
「俺はあまり好きじゃなかった。自分の弱さの象徴みたいだったから……」
「信乃」
後ろから不意に温かさを感じる。
荘介が信乃の身体を抱きしめていた。
「だから……こうして強くなれて……良かった部分も確かにあるんだ」
だから……後悔はしていない。
村雨を選んだことをーーー。
「……信乃」
心配そうに見つめているだろう荘介に、信乃は笑いかけた。
「荘介が好きだって言うなら、少しは意味があったのかもな。髪を伸ばしていたのも…」
実を言うと……昔から荘介に髪を触れられるのは……結構好きだった。
それだけが……唯一、髪を伸ばしてて良かったと思えた。
「信乃がまた髪を伸ばしたら、また梳かしてあげますよ。毎日のように……ね」
「…………気が向いたら……な」
素直には言えないけど、それが信乃の精一杯の答えだった。
~fin~
荘介✕信乃
「肉まんとカレーまん食べたい」
「…………信乃」
雪まみれのまま言う信乃に、荘介は呆れていた。
積もるほどの雪の中……教会の子供たちと沢山遊んで、気がつけば夢中になっていた。
雪だるまや雪合戦。
おかげで、身体のあちこちは雪で濡れていた。
「また薄着で……風邪引きますよ」
「平気だって」
「ダメです」
荘介は自分の上着を脱ぐと、信乃へと着せた。
「………」
当たり前のようなやり取り。
荘介が着ていた上着は確かに温かい。
「……荘介のほうが寒いじゃん」
「俺は冬に強いですから」
にっこりと笑う荘介は、上着を返すなと笑顔で訴えている。
その訴えに応じて、信乃は荘介の上着を羽織った。
きっと、返してもまた着せられるだけだし……。
昔から、自分の体調には敏感だった荘介。
少しでも何かあれば、自分へと気を配る。
その身を差し出しても……。
「…………」
「どうしました?信乃」
「荘介、手出して」
「手ですか?」
信乃に言われた通り、荘介は右手を出した。
信乃はその手を左手で掴む。
「信乃?」
「寒いから……温めてて」
伝わる体温が自分の中で温かくなっていく。
「……わかりました」
荘介は苦笑しながらも、信乃の言葉に頷いて握り返していた。
「……肉まん買って帰ろうぜ」
「はいはい」
荘介の手を引く信乃の姿に、荘介は自然と笑みが零れていた。
~fin~
荘介✕信乃
現在、部屋の空気が重たく感じるのは気のせいじゃない。
「え……と」
「…………」
信乃は今とても居心地が悪く、その視線から逃れたかった。
思わず正座になってしまう信乃を、荘介が静かな怒りを持って見つめている。
「全くあなたは……」
「いや、大したことじゃないし……」
「どこが大したことじゃないんです。木から足を滑らせて、傷まで作って……」
「傷はすぐに塞ぐし……」
「そういう問題じゃないです」
信乃は自分の言葉で墓穴を掘っていた。
信乃が言葉を重ねれば重ねるほど、荘介の怒りは増していくようだった。
原因は自分にあるので、仕方がない……。
「……悪かったって……」
「………」
元々の原因は風に飛ばされた帽子が気に引っ掛かり、取れずに困っていた人を見つけたからだ。
信乃は自身の身軽さで木へと飛び移り、簡単に帽子を取った。
だが、木の枝は思ったよりも脆く、油断もあってか落ちてしまった。
着地はしたものの、多少手に傷はつく。
その血の匂いがわからない荘介ではない。
すぐにバレてしまい、荘介に問い詰められていた。
「人助けをすることは良いことです。ですが、信乃は自分の力を過信しすぎです」
「わかった……から。気をつけるって……」
「そう言って、何回か繰り返してますよ」
「……っ」
信乃は言い返したかったが、出来なかった。
荘介は怒りではなく、心配そうな顔で自分を見つめていたから……。
「心配させないでください」
「……ごめん」
自分を大事にしない事に、荘介は腹を立てている。
きっと、自分も荘介が自分を蔑ろにしたら……怒るから……。
だから……受け止めるしかない。
「…………」
荘介の想いが信乃に伝わったのか、信乃は反省した顔を見せていた。
悲しい顔をさせるのは、自分の本意では無い。
荘介は笑って、信乃へと告げた。
「次、こんな事したら、すぐに浜路に言いますよ」
「か……勘弁して……」
あの大事な妹が知ったら、きっと怒り狂うに違いない。
そして、どんなことが待っているか……。
考えただけでも恐ろしい。
「すぐに食事の支度しますから、待っててください」
「うん、わかった」
先程までの重たい空気が変わり、いつもの穏やかな空気になる。
それが何よりも大事な居場所だった。
~fin~
荘介✕信乃
今日の朝は一段と寒い。
雪こそ降ってはいないものの、今にも降りそうな天気だ。
「寒い……」
布団に包まりながら、信乃はそう呟いていた。
すでに身支度を整えた荘介は、そんな信乃をため息混じりに見下ろしていた。
「いい加減、起きたらどうですか?」
「やだ」
信乃は即答して、更に布団へと潜り込む。
「荘介は寒さに強いからいいけど、俺はダメだ」
「……仕方ありませんね」
荘介は諦めたと信乃は思ったが……、すぐに自分の身体が浮いた。
「ちょ……何すんだっ!!」
「あまり怠けた生活を続けるのはいけませんよ」
「ちぇ……」
荘介に抱きかかえられて、そのままベッドから引き離された。
荘介は信乃を下ろそうとしたが、逆に信乃が荘介の首に腕を回してきた。
「信乃?」
「ぬくい」
「……」
どうやら信乃は布団で暖を取るのを諦め、荘介の体温で暖を取ることにしたらしい。
「下りてください、信乃」
「やだ」
「………」
困ったものだと、荘介は思う。
だが、無理矢理には下ろそうとはしなかった。
「荘介の体温が一番安心する」
「そうですか…?」
「うん」
「……信乃、誰にでもそういう事は言わないように……」
「??」
「わからなくていいです」
ため息をつきながら言う荘介の言葉の意味がわからず、信乃は首を傾げた。
「よくわかんないけど、こんなの荘介にしか思わないし」
「……」
荘介は更にため息を深くする。
にこにこと笑っている信乃。
そんな信乃の顔を見て、荘介の力も抜ける。
しばらくはこのままでいいかと、信乃の体温を感じながら荘介も思っていた。
~fin~
荘介✕信乃
「―――信乃、その格好は何です?」
「う……っ」
屋敷へと戻ってきて、こっそりと中へ入る。
そろりと足を忍ばせていたところ、信乃は荘介に見つかった。
ものすごく間の悪いタイミングで。
「びしょびしょに濡れますけど……?」
「いや……雨に降られちゃって……」
だから、バスルームへと向かっていたのだが……。
はっきりと言って、外は台風並みの豪雨だ。
朝は降っていなかったので安心していたら、このざまだ。
「……全く、貴方ときたら……」
荘介は呆れながらも、信乃の身体を軽々と抱き上げた。
そして、そのまま中へと入り、階段を上がっていく。
「わっ……何だよっ」
「このままじゃ、床が水浸しになりますし……信乃も風邪引きますよ」
「すぐに風呂に入るから、平気だって……。荘も濡れるから……」
「いいから、大人しくしてなさい」
「………っ」
ピシャリと言われ、信乃は口を閉じるしか無かった。
荘介の静かな怒りを感じて、信乃は言う通りにするしか無い。
荘介は部屋へと信乃を連れてくると、そのままバスルームへ直行した。
信乃が服を脱いでいる間に、湯を沸かす。
濡れてしまった荘介は、己を顧みずに信乃を優先させた。
その様子に、信乃は申し訳なかった。
「……ごめん……色々…」
「いいから……早く温まってください」
「…………」
荘介は変わらない笑みを向けているので、信乃は何だか胸が潰れそうになった。
何故だろう……何か寂しい。
「信乃?」
「………」
立ち尽くしている信乃に、荘介はその顔を包み込んだ。
荘介は身を屈ませて今にも泣き出しそうな彼に、温もりを与える。
想いを伝える確かな方法で……。
想いが伝わって、信乃は自然と顔を上げた。
「………」
「怒ってませんよ。呆れは……しましたけど」
「う……っ」
「まあ……それが信乃だと思ってますから……」
「何か複雑なんだけど……」
荘介の変わらない様子に、信乃の気持ちも落ち着いてきた。
多少は複雑だけど……。
「信乃が自由にしているなら、それをどうにかするのが俺の役目ですから……」
「そういうとこ……負ける」
「お互い様です」
にこにこと笑っている荘介に、信乃もまた自然と笑みが戻ってくる。
確かな温もりがそこにはあり、信乃はそれを感じ取っていた……。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
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自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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