乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
仲謀×花
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今日は大喬さんと小喬さんにお茶に誘われて、のんびりとした時間を過ごす。
そして、それは唐突に言われた。
「ねぇねぇ。花ちゃんは、仲謀のどこが好きなの?」
「こほっ……え?」
小喬さんの唐突の言葉に、私は飲んでいたお茶でむせそうになった。
「だーかーら、花ちゃん、仲謀のどこがいいのかと思って」
「うんうん、気になるーー」
「どこって……」
2人はきらきらとした表情でこちらを見ている。
その表情がまぶしくて、いたたまれない。
「だって気になるもん。仲謀ってすぐ怒るし」
「ねー、確かに顔はいいかもしれないけど、乱暴だよねーー」
「偉そうだしーー」
仲謀と付き合いが長い2人は、容赦なかった。
「どこって言われても……」
改めて思い返してみると、どこなんだろ?
確かに仲謀はかっこいいと思うけど、すぐ怒るし。
口も悪いし、常に偉そうだし。
初めて出会った頃のことを思うと、確かに良い印象とは言えない。
だけど……。
過去に飛ばされた時とか、体調が悪い時とか、
私に気を配ってくれた。
この世界にとどまるか、元の世界に帰るかで決めかねた時、
私の気持ちを尊重してくれた。
仲謀の一つ一つの行動が、優しいと思う。
「ねー、どこなのー?」
「教えてーー、花ちゃんーー」
2人にせがまれて、私は根負けしてしまった。
「や、優しい……ところかな」
「…………………」
「…………………」
あ、あれ?2人とも黙っちゃった。
私、そんな変な事言ったかな?
「えーー、信じられないーー」
「そんなところあるのーー?」
「でも、2人の時はきっと違うんだよーー」
「そっかーー、ラブラブなんだねーー」
「ら……ラブラブ?」
大喬さんと小喬さんは、面白そうに私を見ていて、
その様子に、私はとても恥ずかしかった……。
「――何の話をしてるんだ?」
後ろからよく見知った……それどころか今はあまり来て欲しくない人が来てしまった。
「あ、仲謀」
「!!」
「やたら賑やかだが、何の話をしてたんだ?」
「えーー、どうしようかなー?」
「教えてあげようかなー?」
「だ……だめ!!」
「花?」
2人を思わず止めてしまう私に、仲謀が首を傾げている。
「な、内緒だから!!」
私はその場から立ち上がって、そのまま走り出した。
「お……おい!!」
仲謀が私に向かって、追いかけてくる。
「やっぱり、ラブラブだねーー」
「ねーー」
そんな私たちのやり取りを、大喬さんと小喬さんは笑っていた。
~fin~
仲謀×花
私は元の世界には戻らずに、仲謀と生きていく事を決めた。
気持ちが固まるまで、散々迷ったけど、
今ではこの決断が間違いだとは思わない。
――あれから。
玄徳さんと尚香さんの婚儀が無事に果たされ、
仲謀軍と玄徳軍の同盟も良好だった。
それは「戦のない世界」を仲謀が叶えるために、頑張ってくれているから。
私は玄徳軍の皆と別れを告げ、
仲謀とともに京城に帰ってきた。
この場所がもう私にとっての居場所だ。
仲謀は連日仕事で忙しいし、私は子敬さんに文字を教わったり、仕事を手伝っている。
そんな日々を送っていたから、仲謀と顔を合わせる機会が減っていた。
「おい」
「あれ、仲謀どうしたの?」
今日は、朝から会議だからしばらく終わらないと思っていたのに……。
久しぶりに見る仲謀の姿は、やっぱりどこか不機嫌そうだった。
その表情ですら、私には嬉しい。
「お前を探してたんだよ」
「?」
私が首を傾げていると、不意に身体が傾いた。
気がつくと、仲謀の腕の中に私はいた。
「え、ええ?急にどうしたの?」
「別に、どうしてもお前の顔が見たかったんだよ」
「仲謀……」
「こっちみんな」
「むぐっ……」
私が顔を上げようとすると、仲謀が私の頭を抑えた。
私は仲謀の胸に顔を埋める形になって、顔を上げられない。
――もしかして、照れてる?
私の予想は間違いなくて、きっと仲謀はその顔を見られたくないんだ。
久しぶりに仲謀の温もりに、私も安心して身を任せる。
「私も……仲謀に会いたかった……」
「っ!!そういう事を不意打ちに言うな」
「だって……」
「もう黙れ」
仲謀は私の身体を自由にすると、すぐに唇を重ね合わせてくる。
私は自然と目を閉じていた。
~fin~
ベルナール×アンジェ
「お誕生日おめでとうございます!!ベルナールさんっ」
「え・・・」
朝、開口一番にアンジェリークに言われたのは、お祝いの言葉だった。
しかし、本人は朝だからなのかイマイチ理解していない。
「今日だったけ?」
「そうですよーー。ご自分の誕生日ですよ?」
不思議そうな目でアンジェリークに見られている。
「そうか。この歳にもなると、そんなことすっかり忘れてたよ」
「ベルナールさんは、私のはちゃんと覚えてるじゃないですか・・・」
「そりゃあね。大切な奥さんのことだから・・・」
「!!」
不意打ちのベルナールの言葉に、アンジェリークは顔が紅くなった。
「まだ、慣れないのかい?」
「だ・・・だって・・・」
「君は大切な僕の奥さんだよ。早く慣れて欲しいな」
「ど、努力します・・・」
「そうしてくれると嬉しいよ」
顔を紅くするアンジェリークに対して、ベルナールはクスクスと笑っていた。
そんなベルナールに、アンジェリークは話を続ける。
「あの、ケーキを作ったんです。食べてくれると嬉しいです」
「もちろん頂くよ。誕生日を祝われるなんて久々だなぁ」
「そうなんですか?」
「ああ。ずっと1人暮らしだったし。毎年仕事に追われて、気がついたらその日は終わってた気がする」
ベルナールの言葉に、アンジェリークは目を丸くした。
「そんな、せっかくの誕生日なのに・・・」
「うん。覚えてるのだと君と一緒に暮らしてた頃かな・・。懐かしいな」
「あの時は、ベルナールさんのお祝いよりも私が楽しんでた気がします」
お祝いの言葉とプレゼントで、ベルナールがすごい喜んでくれた。
それにつられて、アンジェリーク自身も嬉しかった。
「ああ。君はよくケーキを食べていた」
「そ、そんなことないですよーーー」
「あまりに美味しそうに食べるから、僕の分もあげてたっけ」
「もう・・・。そんなことは忘れてください」
アンジェリークはプイッと顔を背けた。
ベルナールとの思い出の共有は嬉しいが、思い出して欲しくないものある。
「ごめん、ごめん。だから、今日は2人でお祝いしてくれると嬉しい」
「もちろんです!!」
「今日も来年も・・・その先もね。アンジェ」
「はい、ベルナールさん」
その約束に胸を弾ませ、2人はケーキを食べることにした。
~fin~
ベルナール×アンジェ
「ん……」
アンジェリークが目を覚ますと、いつもの見慣れた天井。
だが、少し身体がだるい気がする。
身体が熱くて、意識がはっきりとしない。
さっきまで食事の準備をしていた筈なのに、どうして横になっているんだろう?
アンジェリークが窓の方を見ると、陽が高く青空が見える。
時間は昼を過ぎた頃だというのがわかった。
「アンジェ、起きたのかい?」
「べ、ベルナールさんっ!」
昼過ぎならベルナールは仕事の筈だ。
それなのに、どうして今ここにいるのだろう?
「どうしたんですか?お仕事の筈じゃ……」
「覚えてないのかい?」
「?」
「君は朝から熱があったんだよ。今まで寝てたんだ」
「それじゃ……」
ベルナールはアンジェリークの看病のために、仕事を休んでいたのだ。
ベルナールを支える筈が、逆に迷惑をかけてしまっている。
「ごめんなさい……。ベルナールさん」
「何で君が謝るんだい?」
「だってお仕事なのに……」
ベルナールは、落ち込んで今にも泣き出しそうなアンジェリークの手を取った。
「僕の仕事の代わりをする人間はいるけど、君の傍にいるのは僕の役目だからね」
「でも……」
「むしろこんなままの君を放っていたら、心配で仕事にならないよ」
「ベルナールさん……」
ベルナールはアンジェリークの額に手を当てて、熱を測っている。
「さっきよりも下がったみたいだね。ご飯食べるかい?」
「はい」
そう言うと、ベルナールはおかゆをキッチンから取ってきた。
「知り合いのおばさんから聞いて何とか作ってみたんだ。多分大丈夫だと……思う」
「ありがとうございます」
アンジェリークが器を受け取ろうとすると、ベルナールが手で制した。
「だめだよ」
「え?」
「これは僕の仕事だからね」
「え?ええ?」
「今日は十分に君を甘やかしてあげるよ。アンジェ」
「べ……ベルナールさんっっ」
恥ずかしがるアンジェリークに、ベルナールは楽しそうに笑っている。
そしてその日は、アンジェリークの元気になるまで、世話を焼いていた。
アンジェリーク自身が困るまで……。
~fin~
ベルナール×アンジェ
眩しい日差しが窓から差し込む。
その光にアンジェリークは、目を覚ました。
「ん……っ」
視界に入ってくる景色に、いつもの部屋の天井が見えて、今が朝だということを認識する。
「起きたかい?アンジェ」
「あ……ベルナールさん」
上のほうからベルナールの声が聞こえる。
「おはよう、アンジェ」
「お……、おはようございます」
ベルナールは挨拶のあと、おはようのキスを軽く落とす。
アンジェリークが身体を起こすと、少しだるいような気がする。
「アンジェ。まだ無理しないほうがいい。今お茶を入れてくるから」
「す……すみませんっ」
ベルナールがお茶を取りに部屋を出ると、アンジェリークは布団の上に突っ伏した。
アンジェリークの脳裏に浮かんだのは、昨夜のこと。
まだあまり慣れていない行為に戸惑いながらも、必死になって及んだ。
必死すぎて、いっぱいいっぱいだったような気もするが……。
うっすらとは覚えている。
思い出すと、顔から火が出そうだ。
「アンジェ?」
「は……はいっ!!」
不意に呼ばれて、アンジェリークは大きな声で返事をしてしまう。
声のした方を見ると、カップを持っているベルナールがいた。
「どうしたんだい?そんな声を出して」
「な……何でもないですよっ」
「そうかい?ほらアンジェ」
ベルナールが持ってきたカップを、アンジェリークに渡す。
「ありがとうございますっ」
渡されたカップの中身はカフェオレで、飲むとほんのりと甘い。
その様子を、ベルナールはじっと見つめている。
「何でしょう?ベルナールさん……」
「いや、今日も君は可愛いなって思って」
「っっ!!」
さらりと言うベルナールに、アンジェリークは黙ってカップに口をつける。
すると、ベルナールはアンジェリークの髪を触っている。
ベルナールの行動や視線は、アンジェリークの心臓に悪い。
すぐに体温が上昇してくる。
「もうっ。ずるいです」
「何がだい?アンジェ」
「だって、ベルナールさん。余裕なんですもの」
少しむくれたアンジェリークに、ベルナールは苦笑いだ。
「そうかな?」
「私はこんなに恥ずかしいのに、ベルナールさんはすごく余裕に見えます」
「一応は君よりも年上だからね。でも……こうして君といるだけで、とても満たされた気持ちになるんだよ」
「そうですか?」
「ああ。だからこうして触れたくなる」
ベルナールはそう言うと、アンジェリークの額に口付けを落とした。
すぐに行動できるベルナールは、やっぱり大人だ。
けれど……。
「私も……。ベルナールさんといるだけで、幸せです……」
恥ずかしい気持ちと、同時に満たされた気持ちになる。
優しい想いが胸いっぱいに広がっていく。
「今日はどうしようか?アンジェ」
「えーーと。えーと」
焦るアンジェリークに、ベルナールはくすりと笑う。
「焦らなくていい。ゆっくりと考えて。時間は沢山あるから」
「はい……」
~fin~
ベルナール×アンジェ
ある日の午後、アンジェリークが洗濯物を干していると不意に衝撃が起きた。
「アンジェッ」
「きゃっ……ベルナールさんっ」
「驚いたかい?」
「は……はい、とっても」
ベルナールが後ろからアンジェリークを抱きしめ、その行動にとても驚いた。
「悪かったね、ついアンジェの姿を見たら衝動に駆られてね」
「衝動?」
アンジェリークが首を傾げると、ベルナールはそのまま言葉を続けた。
「アンジェがあまりにも可愛いから……」
「なっ……。ベルナールさんっ」
あっさりと恥ずかしいような台詞を言うため、アンジェリークは顔が赤くなってしまう。
そんな自分の様子を、ベルナールは楽しんでいるに違いない。
少しだけ恨めしく見つめると、ベルナールは微笑んだ。
「ごめんごめん、お詫びに洗濯干すの手伝うから」
「だ、ダメですよっ」
「どうしてっ?これじゃ、許してもらえない?」
「そ、そうじゃなくてっっ。ベルナールさん、今日お休みなんだからもっと休んでてくださいっ」
ベルナールは、新聞記者として忙しい毎日を送っている。
今日はせっかくの休日なので、思う存分休んでもらおうとアンジェリークは思っていた。
だが、手伝わせてしまっては元も子もない。
「でも、2人でやったほうが早く終わるよ」
「でも、申し訳ないです~っ。ベルナールさんは休んでてくださいっ」
「アンジェ」
ベルナールの口調が先ほどよりも優しいものに変わって、アンジェリークはどきりとする。
「僕としては、せっかくの時間をアンジェと過ごしたいな。それに……」
「それに?」
「可愛い奥さんの手伝いをしたいって、前から思ってたんだ。ずっと結婚する前からね」
「ベルナールさん……」
そこまで言われてしまっては、逆に断ることが悪いと思ってしまう。
それにアンジェリーク自身も、ベルナールと過ごしたい気持ちは一緒だ。
「じゃあ、お願いできますか?」
アンジェリークはベルナールに洗濯物をいくつか渡す。
「OK。一段落したらこの後、出かけようか?それともゆっくりしようか」
「ゆっくり過ごしたいです」
「いいのかい?いつも出かけられないからたまには……って思ったんだけど」
「私……。ベルナールさんと2人でいられれば、嬉しいです」
「アンジェ……」
アンジェリークはベルナールに、にっこりと微笑んだ。
それにつられて、ベルナールも微笑む。
「なら、早く終わらせようか」
「はいっ」
2人の間に、爽やかな風が吹く。
穏やかな休日が始まろうとしていた。
~fin~
レイン×アンジェ
「……っ」
「レイン、大丈夫?」
「平気だ。かすり傷だから」
そういうレインの腕は少し血が滲んでいる。
診たところ、傷は深くはない事に安堵した。
レインとアンジェリークは、いつものようにオーブハンターとしての依頼をこなしていた。
タナトスは退治したもの、攻撃をよける際に少しだけ攻撃をかすってしまった。
心配そうなアンジェリークの様子に、レインは安心させるように声をかける。
「大丈夫だから心配するな。見た目よりは全然平気だ」
「でも……これだけはさせて」
アンジェリークは、持っていたハンカチで止血する。
しばらくして、すぐに血は止まったようだ。
「いいのか?汚れてしまう」
「汚れよりもレインの傷のほうが心配だもの」
傷が小さいとはいえ、痛みがないわけではない。
アンジェリークはその痛みを思い、辛そうな表情をしていた。
「お前が傷ついたわけじゃないんだ。そんな顔をするな」
「でも、レインが傷つくのだって嫌なの」
「ああ。俺だって同じさ」
レインは少しでもアンジェリークの不安を和らげようと、軽く頭を撫でた。
「俺はお前を守るために傍にいるんだ。必ずお前を傷つけさせたりしないために」
「ありがとう……レイン。でも、私もレインが傷つかないように守りたいの」
「アンジェ……」
アンジェリークの真っ直ぐな想いに、レインは嬉しくなってしまう。
たった一言のアンジェリークの言葉に、一喜一憂する。
そんな単純な自分が可笑しくもなるが、案外嫌いじゃない。
「心強いよ、アンジェ」
「ええ、絶対よ」
レインは怪我をしていない手を、アンジェリークに差し出した。
アンジェリークもまたその手を掴み、ゆっくりと歩き出していた。
~fin~
レイン×アンジェ
その日は、特別な日。
特別な人が生まれた、大切な日。
「よし、出来た!!」
アンジェリークは、ようやく作業が終わってホッとした。
朝からキッチンで奮闘し、出来上がったのはアップルパイ。
これはアンジェリークが大切に思っている人物の、好きな物。
「レインはまだ……、寝てるのかしら?」
時間はお昼に近かったが、レインの姿はない。
夜まで研究に没頭するあまり、寝るのは朝になる日もある。
しかし、今日は特別な日だ。
レインに早く会いたいような、恥ずかしいような気持ちになる。
「アンジェ……?何やってるんだ?」
「れ………レイン!?」
不意に後ろから声がかけられ、アンジェリークは驚いた。
思わず飛び上がりそうになりながらも、アンジェリークは振り返った。
「おはよう、レイン。また、寝るの遅くなったの?」
「ああ。ちょっとな。研究が終わらなくて……」
レインの表情はとても眠そうにしている。
その表情に思わず、アンジェリークは笑ってしまう。
「もー、大丈夫?レイン」
「大丈夫だ。全然問題ないぜ……と腹減ったな」
「あ……あのね」
アンジェリークは、レインに話を切り出そうとした。
だが……。
「お、アップルパイか。一つもらっていいか?」
言うが早いか、レインはアップルパイを一口食べ始める。
「あ……」
「上手いよ、アンジェ」
「レインーーーっ」
「何だよ、駄目だったのか?」
アンジェリークの反応に、レインは少し困惑してしまう。
「ち……違うの。これ……レインの誕生日プレゼントだったの」
「え……誕生日?……今日だったか?」
レインは自分の事に関心がなく、誕生日の事すら忘れていた。
「そうよ。忘れてたの?」
「ああ……」
「だから、お祝いしたかったの……。レインの特別な日だから」
「そうか……」
「誕生日おめでとう、レイン」
「アンジェ……」
レインはアンジェリークを引き寄せると、自分の腕の中に閉じ込めた。
「れ、レイン!?」
「サンキュ、アンジェ。お前に言われるのが一番嬉しいよ」
「うん……」
アンジェリークはレインの笑顔に、胸がいっぱいになった。
「ね、一緒に食べよう。レイン」
「ああ」
アンジェリークはレインの手を引き、テーブルへと案内する。
穏やかな時間が始まろうとしていた。
~fin~
レイン×アンジェ
アンジェリ-クとレインは依頼を終え、ウォードンへ寄ることした。
「やっぱりここは大きな街だわ」
「まあな。結構人の出入りが多いしな。店も多いし」
「ほんとね」
アンジェリークは目を輝かせ、通り過ぎるお店に目を奪われる。
そのコロコロと変わる表情が、レインには面白くてたまらない。
「なあに?レイン。笑ったりして」
「いや。随分と楽しそうだと思って」
「ええ。だって楽しいから……つい」
素直に答えるアンジェリークが、レインにはとても愛しく思える。
ファリアンで育った自分にとっては、そう珍しくはない。
だが、素直に感動できるアンジェリークはとても可愛らしい。
「……と。アンジェ!!」
気がつけばアンジェリークは人ごみによって、少し流されている。
「これだから目が離せない」
レインはすぐさま追いかけ、アンジェリークの元へと辿り着く。
「レイン!!」
「すぐ目を離すとこれだ」
「ごめんなさい……」
アンジェリークはしょんぼりと落ち込んでしまっている。
レインとしてはそんな風にする気は、なかったのに……。
もどかしい自分の行動に、レインは……。
「ほら」
「え?」
レインは、アンジェリークの前に自分の手を差し出す。
「手を繋げば、離れることもないだろ」
「ん……」
アンジェリークは少し恥ずかしそうに、その手を掴んだ。
「照れるなよ。こ……こっちまで恥ずかしくなるだろ?」
「だ……だって、こんな風に男の人と手を繋いだことないんだもの……」
「そ……そうか」
アンジェリークの言葉に、レインはつい嬉しくなってしまう。
そしてアンジェリークの手が小さいことにも、少し戸惑う。
「レイン……」
「な……何だ?」
「ありがとう……」
「別に」
少しだけ無言になりながらも、2人はゆっくりと歩き出した。
手を繋いだままで……。
~fin~
レイン×アンジェ
「レイン?」
「あ……、アンジェ」
アンジェが部屋から出ると、そこにはレインの姿があった。
「どうしたの?」
「いや、今日は出かけるのか」
「ええ。依頼はなくても、街の様子を見て回りたくて」
アンジェは少しでもタナトスの被害を減らそうと、出来る限りのことをしたいと決めている。
そんな彼女の気持ちは、レインにも伝わってくる。
「俺でよければ、付き合うけど」
「ほんと?実はお願いしようと思ってて」
レインの提案に快く受け入れるアンジェ。
その様子にレインは安堵する。
アンジェの隣を誰にも譲りたくない。
――そう思うのは、エゴだろうか?
「レイン?」
「いや、何でもない。行くか」
「ええ」
――例え、単なる偶然で隣に今はいたとしても。
それが当たり前になる、存在になりたい。
アンジェは、大切な存在だから。
~fin~
望美がふと思った事は。
「ふっ……ん……あ……ふう」
「望美……」
将臣のキスから解放され、望美は力が抜ける。
その力が抜けた望美の身体を将臣は支える。
「ちょっと、やりすぎたか?」
「将臣君が全然解放してくれないんだもん」
「そうか?その割にはしっかり応えてたじゃねーか」
「将臣君っ」
からかう将臣に望美は顔を紅くして怒る。
「だって、将臣君……」
「ん?」
「キスが上手い気がする」
「は?」
望美の言葉に、将臣は目を丸くする。
「お前なぁ……」
「だってーーー。将臣君と3年以上も離れてたし、その間に何かあっても不思議じゃないし」
「俺を何だと……」
望美に今までそう思われていたのは、心外だった。
将臣としてはずっと、望美だけを想っていたのに。
「まあ……、俺がキスが上手いなら……それはな」
「うん」
「お前を悦ばせるために上手くなったと思うんだが?」
「なっっ!!!!」
さらっと言い放つ将臣に、望美は更に顔を紅くする。
初々しい望美の可愛らしい表情を見たくて、つい翻弄したくなる。
それに……。
「お前にキスするのが好きだしな」
「~~~~~」
ストレートすぎるその言葉に、望美はもう何も言葉が出ない。
「お前は?」
「え?」
「俺とキスするの、嫌か?」
将臣の問いは卑怯だ。
その問いは、すでに答えが決まっている。
「…………好きだよ」
嫌だったら、とっくにこの腕の中から逃げている。
「なら、問題ないな」
「わかってるくせに……もう」
「まあな」
そう言うと将臣は再度、望美に口付けた。
望美もそれを受け入れる。
解放されるのは、当分先になりそうである。
~fin~
「望美……」
将臣のキスから解放され、望美は力が抜ける。
その力が抜けた望美の身体を将臣は支える。
「ちょっと、やりすぎたか?」
「将臣君が全然解放してくれないんだもん」
「そうか?その割にはしっかり応えてたじゃねーか」
「将臣君っ」
からかう将臣に望美は顔を紅くして怒る。
「だって、将臣君……」
「ん?」
「キスが上手い気がする」
「は?」
望美の言葉に、将臣は目を丸くする。
「お前なぁ……」
「だってーーー。将臣君と3年以上も離れてたし、その間に何かあっても不思議じゃないし」
「俺を何だと……」
望美に今までそう思われていたのは、心外だった。
将臣としてはずっと、望美だけを想っていたのに。
「まあ……、俺がキスが上手いなら……それはな」
「うん」
「お前を悦ばせるために上手くなったと思うんだが?」
「なっっ!!!!」
さらっと言い放つ将臣に、望美は更に顔を紅くする。
初々しい望美の可愛らしい表情を見たくて、つい翻弄したくなる。
それに……。
「お前にキスするのが好きだしな」
「~~~~~」
ストレートすぎるその言葉に、望美はもう何も言葉が出ない。
「お前は?」
「え?」
「俺とキスするの、嫌か?」
将臣の問いは卑怯だ。
その問いは、すでに答えが決まっている。
「…………好きだよ」
嫌だったら、とっくにこの腕の中から逃げている。
「なら、問題ないな」
「わかってるくせに……もう」
「まあな」
そう言うと将臣は再度、望美に口付けた。
望美もそれを受け入れる。
解放されるのは、当分先になりそうである。
~fin~
望美が家に行くと、将臣は眠っていて・・。
「あ……寝てる……」
望美が有川家に訪問し、リビングへ行くと将臣はソファーに座っていた。
だが、将臣は夢の中。
出迎えてくれた譲は、兄の姿に呆れた。
「まったく、仕方がないな。兄さんは。せっかく先輩が来てくれたのに」
「ふふっ。大丈夫、いつもの事だから」
「すみません、先輩。俺は部活の時間なので出かけますね」
「うん、ありがとう。いってらっしゃい」
「はい」
譲は申し訳なさそうに、家を出る。
「さて…と」
望美は将臣がいるソファーの隣に座る。
望美は特に将臣を起こそうとはせず、じっと将臣を見つめていた。
「しかし、よく寝てるな」
望美が隣にいても、将臣は一向に起きる気配がない。
「以前だったら、こんな事はなかったのにな」
異世界に飛ばされてからは………。
眠る将臣に近づいても、将臣はすぐに目を覚ましてしまう。
それは常に命を狙われ、気を抜けないからだ。
油断すれば、すぐに殺される。
そういう世界にいたから…………。
そして今は、平和な自分たちの世界にいる。
「けど、将臣君。寝すぎだよね」
向こういた頃は、朝早く起きてたが、今ではすっかりだらけている。
「全く!!」
望美は慣れているとはいえ、やっぱり面白くない。
「今なら……いいかな?」
将臣を窺い、眠っている姿を確認。
そして望美は、そっと将臣に触れた。
一瞬のキス。
望美はすぐに身体を離し、その場から離れる。
離れようとしたのだが……。
「~~~!!」
先程のキスとは違い、深く口付けてくる。
望美は必死に逃れようとするが、叶わない。
ようやく唇が離れ、望美は睨みつけた。
「もう!!!!将臣君!!」
「甘いな。お前は」
真っ赤になる望美とは対照的に、将臣は飄々としている。
望美はその余裕が憎らしい。
「もー、起きてたの?」
「いや、寝てたぜ。お前が起こしたんだろ?」
「!!!!」
その言葉に、望美は何も言えなくなる。
起きない将臣に内緒のつもりだったのに、全てバレていた。
「お前からキスするなんて、珍しいからつい、な」
「ついじゃない~~」
望美にとっては些細な意地悪なつもりだったが、むしろ望美が意地悪された気分だ。
「はいはい、悪かったよ」
「将臣君、全然反省してないでしょ?」
「そうか?」
「も、離して」
望美は将臣に抱きしめられたまま、動けないでいた。
「どうするかな」
「将臣君っっ!!……んっ」
望美の言葉は続かず、将臣に塞がれた。
その甘い口付けに、望美は勝てる訳がなく……。
「将臣君の馬鹿……」
それはせめてもの望美の抵抗だった。
「そうかよ。でも、もう少し……いいだろう?」
「……………………うん」
望美は今度は目を閉じて、その時を待った。
~fin~
再会出来たものの・・。もうすぐ別れの時が迫り・・。「流離」の続き。
せっかく会えたのに・・、言葉が見つからない・・。
吉野から海へ来て、何も言えなかった・・。
昔の話を少ししただけで・・。
源氏の陣へ帰る途中、やっぱり何も話せなかった。
このままだと・・また・・。
「じゃあな」
「行かないで」
思わず望美は将臣を引き止める。
それは咄嗟の行動だった。
「だめだ・・もうすぐ、夜も明けちまう」
「まだ・・明けないよ」
「わかった・・今だけだからな」
そう言って将臣は望美を抱きしめた。
―――朝が来なければいいのに・・・。
いつもそう思ってた。
夢で会う時も朝が来なければ、ずっと一緒にいられるのに・・。
すぐに別れてしまう・・。
でも・・、また会えるって信じてた・・。
けど・・。
――次ぎ会う時は・・・。きっと・・。
朝が来なければいい・・。この温もりを失くしたくないのに・・・。
「望美・・・」
「ご・・ごめんね」
将臣の腕から望美は身体を離す。
悲しい別れだけど、悲しい別れにならないように・・・。
望美は笑った。
少しでも辛い事が消えるよう・・。
「そろそろ、行くぜ」
「うん」
その時・・・・・。
そっと唇が触れた気がした・・。
まるで夢のように・・・、消えていった。
将臣は歩き出す。自分とは違う道を・・。
望美はその後ろ姿を見つめた。
――以前とは違う。もう一緒には・・・いられないから・・。
けれど・・、それでも・・。
「将臣君!!」
「呼ぶな!!頼むから・・」
振り向かず将臣は歩いていく・・。
そして自分もまた・・。
将臣の姿はもう・・ない。
「・・・っ」
望美は声にならなかった。
涙で・・、もう何もわからなくなっていた・・。
―――側にいられなくなって・・・・、気がついた・・。
私は・・将臣君のことが・・・・好き。
好きなのに・・、側にいる事も・・・想いも告げる事も叶わない・・。
次ぎ会う時は・・・きっと戦場だから・・・。
雪だけが降っていた・・。
ただ・・、静かに・・。
~fin~
望美が源氏だと知った将臣は・・。
「源氏の神子か」
将臣はさっきまでの出来事を未だに受け入れられなかった。
「お前が源氏の神子!?」
「将臣くんが還内府・・」
敵だと、倒すべき相手だと思っていた人物は・・。
自分が最も大切にしていた人だった。
「俺はあいつを殺す気だったのか」
将臣は自分の手を見つめる。
その手はさっきまで武器を持っていた。
敵を倒すための道具。
対峙した時に感じたのは、生と死の戦い・。
互いに本気だった。
本気でやらなければ、負けると思った。
「今まで何のために戦ってきたんだかな」
早く平家が逃げ延びて、平和が訪れれば・・。
望美とともにいられると思った。
今度こそ。本当に。
自分の想いを告げて、側にいさせて欲しかった。
「もう・・・一緒にはいられないのか」
自分が平家でいる限り・・。
望美が源氏にいる限り・・・・。
ならば・・・。
「か・・・還内府殿。どちらへ」
「俺は・・・平家をやめる」
「そんな・・・」
「あなたがいないと平家は!!!」
「悪い」
将臣は経正たちが止めるのもわかっていたが、それでもここにはいられない。
こうして平家を去ったとしても、多分解決はしない・・。
ただ、逃げているだけ・・・。
「どうするかな・・」
平家を出た自分には他に居場所がない。
望美は源氏にいる。
当然そこには行ける筈が無かった。
自分は還内府だから・・・。
将臣は特にあてもなく、ある村へと辿り着く。
以前望美たちと立ち寄った村だ。
あの時は野盗に襲われた村を救う事が出来なかった。
「お兄ちゃん・・・?」
「よう」
そこにいたのは、この村に初めて来た時に出会った子供。
「どうしたの?」
「あれから心配でな。ちょっと様子を見にきたんだ。元気だったか?」
「うん。今お手伝いしてるの」
褒めて、と言わんばかりに様子で話しかけてくる。
「えらいな」
「へへ。あれ、お姉ちゃんはいないの?」
「お姉ちゃん?」
「お兄ちゃんと一緒に戦ってたお姉ちゃんだよ」
子供が言うのは、明らかに望美の事だった。
「悪ぃな。今日は俺1人なんだ」
「そっか・・。残念」
「あと、誰か大人を呼んできてくれるか」
「うん。いいよ」
そう言うと子供は家の中へと入っていく。
「何とかなってるんだな」
家は野盗に燃やされた部分はところどころ壊れていた。
だが、人によって修復されつつある。
そして畑も必死に耕している。
生きていくために・・。
「俺も手伝うか」
将臣もまた、村へと入っていく・・。
そして将臣は・・・。
ただずっと待っている・・・。
大切な人を・・。
~fin~
バレンタイン話。(ED後)
「あ・・・」
ごみ捨ての帰りに望美が教室へ戻ろうとしていると、将臣を見かけた。
普段だったら、そのまま近づくのだが、今はそうもいかなかった。
何故なら女の子と一緒にいたから・・。
「有川君・・・これ・・」
女の子が持っているのはラッピングされた箱。
(また・・か)
今日はこの光景を何度も見ている。
いつも呼び出されたりはしているが、今日は特に多い。
今日はバレンタインだったから・・。
去年までとは違い、今年は特別だった。
告白されている相手は望美の恋人だったから・・。
望美は苦い想いを抱えつつもその場をあとにする。
自分だって用意していない訳ではない。
ただ・・。
「私って何で不器用なんだろう・・・」
必死で作ったものの、失敗作ばかり・・・。
何とか奇跡的に出来た物を持ってきたのだが・・・。
他の女の子たちは明らかに上手だし・・、力が入っている・・。
そのためにいまだ渡せずにいた・・。
「これだったら・・、買ってきたほうがよかったかな・・」
でも、「彼女」である自分が買ってきた物を渡して終わり!
なのには、満足出来なかった。
「それか譲君にちゃんと教わっておけばよかった」
男の子に教わるのも情けない話だが、そうすれば今よりもマシだったかもしれない・・・。
そう悩んでいるうちに、結局放課後になってしまっていた・・。
その上、将臣が告白されている現場を何回も見ているし・・・。
「はーーっ」
「何だ、そのため息は」
「あ・・将臣君」
気がつけば望美の後ろには将臣がいた。考えながらゆっくりと歩いていたため、すぐに追いつかれたらしい。
「掃除終わったのか」
「うん。今ごみ捨てに行ってきたとこ」
「ごみ捨て・・・」
「あ・・・」
望美は素直に口にしたことを後悔する。
その帰り道に将臣が告白されていたのを見ていたのが、あっさりとばれてしまった。
「見たのか」
「うん・・ごめん」
「?何で謝るんだ」
別に悪い事をしていないだろうと将臣は言う。
「ちゃんと断った」
「え・・・」
「何で驚くんだよ。彼女がいるのに」
「あ・・・」
『彼女』という言葉に望美の心が晴れやかになる。
「当然だろう・・。心配すんな」
「ん・・」
ポンポンと頭を軽く叩く将臣に望美は安心した。
「あーーけどな」
「?」
「いい加減、お前からチョコ欲しいんだが」
「で・・でも」
「何だよ・・。無いのか」
「あるよ!!あるけど・・・いいの?」
「聞くなよ。お前のだったら欲しいに決まってるだろう」
「うん・・・」
望美は鞄からラッピングされた箱を取り出す。
「はい」
「サンキュッ」
その顔はとても笑顔で嬉しそうに見えた。
それだけで望美の心は熱くなる。
「ちょっと失敗しちゃって・・」
「お前が作ったのか?」
「うん。だから無理しなくても」
だから食べなくてもいいよ、という望美をよそに将臣は包みを開け始めた。
中にはハート型のチョコが入っていた。
そしてそのチョコを口に入れた。
「ま・・・将臣君」
驚く望美をよそに、将臣は無言で食べている。
「あの・・美味しくないよね?」
「そんな訳ないだろう。嬉しいよ」
将臣は望美の身体を引き寄せる。
気がつくと望美は将臣の腕の中だ。
「望美・・・ありがとな」
「うん」
望美が顔を上げれば、将臣が近づいてくる。
望美はそっと目を閉じた。
重なった唇はいつもよりも甘い気がした・・・。
~fin~
ごみ捨ての帰りに望美が教室へ戻ろうとしていると、将臣を見かけた。
普段だったら、そのまま近づくのだが、今はそうもいかなかった。
何故なら女の子と一緒にいたから・・。
「有川君・・・これ・・」
女の子が持っているのはラッピングされた箱。
(また・・か)
今日はこの光景を何度も見ている。
いつも呼び出されたりはしているが、今日は特に多い。
今日はバレンタインだったから・・。
去年までとは違い、今年は特別だった。
告白されている相手は望美の恋人だったから・・。
望美は苦い想いを抱えつつもその場をあとにする。
自分だって用意していない訳ではない。
ただ・・。
「私って何で不器用なんだろう・・・」
必死で作ったものの、失敗作ばかり・・・。
何とか奇跡的に出来た物を持ってきたのだが・・・。
他の女の子たちは明らかに上手だし・・、力が入っている・・。
そのためにいまだ渡せずにいた・・。
「これだったら・・、買ってきたほうがよかったかな・・」
でも、「彼女」である自分が買ってきた物を渡して終わり!
なのには、満足出来なかった。
「それか譲君にちゃんと教わっておけばよかった」
男の子に教わるのも情けない話だが、そうすれば今よりもマシだったかもしれない・・・。
そう悩んでいるうちに、結局放課後になってしまっていた・・。
その上、将臣が告白されている現場を何回も見ているし・・・。
「はーーっ」
「何だ、そのため息は」
「あ・・将臣君」
気がつけば望美の後ろには将臣がいた。考えながらゆっくりと歩いていたため、すぐに追いつかれたらしい。
「掃除終わったのか」
「うん。今ごみ捨てに行ってきたとこ」
「ごみ捨て・・・」
「あ・・・」
望美は素直に口にしたことを後悔する。
その帰り道に将臣が告白されていたのを見ていたのが、あっさりとばれてしまった。
「見たのか」
「うん・・ごめん」
「?何で謝るんだ」
別に悪い事をしていないだろうと将臣は言う。
「ちゃんと断った」
「え・・・」
「何で驚くんだよ。彼女がいるのに」
「あ・・・」
『彼女』という言葉に望美の心が晴れやかになる。
「当然だろう・・。心配すんな」
「ん・・」
ポンポンと頭を軽く叩く将臣に望美は安心した。
「あーーけどな」
「?」
「いい加減、お前からチョコ欲しいんだが」
「で・・でも」
「何だよ・・。無いのか」
「あるよ!!あるけど・・・いいの?」
「聞くなよ。お前のだったら欲しいに決まってるだろう」
「うん・・・」
望美は鞄からラッピングされた箱を取り出す。
「はい」
「サンキュッ」
その顔はとても笑顔で嬉しそうに見えた。
それだけで望美の心は熱くなる。
「ちょっと失敗しちゃって・・」
「お前が作ったのか?」
「うん。だから無理しなくても」
だから食べなくてもいいよ、という望美をよそに将臣は包みを開け始めた。
中にはハート型のチョコが入っていた。
そしてそのチョコを口に入れた。
「ま・・・将臣君」
驚く望美をよそに、将臣は無言で食べている。
「あの・・美味しくないよね?」
「そんな訳ないだろう。嬉しいよ」
将臣は望美の身体を引き寄せる。
気がつくと望美は将臣の腕の中だ。
「望美・・・ありがとな」
「うん」
望美が顔を上げれば、将臣が近づいてくる。
望美はそっと目を閉じた。
重なった唇はいつもよりも甘い気がした・・・。
~fin~
望美と別れた将臣と知盛は・・。裏熊野編。
「あれが有川の女・・か」
「ぶっ」
急に知盛は変な事を言い出した。
その言葉に思わず噴出してしまう将臣。
「お前・・いきなり何言ってんだ」
「違うのか・・?」
「違う!あいつは幼馴染」
知盛はその言葉にフッと笑う。
「あの女は面白い。興味がそそられる」
「知盛・・。手を出すなよ」
「何故だ。ただの『幼馴染』なんだろう」
知盛の言葉に内心面白くない将臣だったが、それを悟られると知盛に何を言われるかわからない。
そのため必死に冷静さを装う。
「普通の女とは違い、まっすぐと俺を見ている」
「・・・」
「それに剣の腕も立ちそうだしな」
「それは・・・確かにな」
正直将臣自身も驚いていた。
再会して半年・・。
以前会った時もだが、望美は完璧に剣術を身に着けていた。
師であるリズヴァーンの影響は確かだが、元の望美の素質もあるのだろう・・。
それに・・・。
「舞いも中々見事だったしな」
「そうだな」
―――舞を習っていたなんて、知らなかった・・・。
―――まさかあんな綺麗に舞えるなんて・・・。
――あんな望美は・・・・俺は知らない。
それがまるで将臣と望美の距離のような気がした。
望美にとっては半年。
将臣にとっては3年半だ。
将臣はどんどん自分が知らない望美が増えていく事に、焦りがあった。
―――結局・・・、どうする事も出来ないけどな。
「まあ、あの女とは今後も会えそうだしな。楽しみはこれからだな」
「知盛!!!だから・・・」
「俺に盗られたくなくなかったら、しっかり捕まえとくがいい」
そう余裕を見せる知盛は立ち上がり、部屋を出て行く・・。
「簡単に言うなよ」
次ぎ会うのがいつかもわからない・・・。
本当に会えるのかもわからない・・・。
「やばいな・・」
望美と再会してから・・・、余計にその想いを募らせている気がする・・・。
好きだと言う想いを・・・・。
「望美・・・」
気がつけば・・、返事のない名をその場で口にしていた・・。
~fin~
将臣を探す望美。どうやら眠っているらしく・・。
「将臣くーーん」
気がつくと望美は将臣の姿を探していた。
「もう、すぐどっかに行っちゃうんだから」
再び再会できて数日、熊野での怨霊を退治するために しばらく行動を共にする事になった。
「あ・・いた」
見えるのは、木陰で一休みする将臣の姿・・・。
目を閉じて横になっている。
望美はそっと、将臣の側へと近づいていく。
(寝てるのかな・・?)
「・・・なんだ。望美か」
望美が近づいた途端、その閉じられた目は開かれた。
そして身体を起こす。
「起きてたの!!」
「まあ・・な。そんな爆睡したりしてねえぇよ」
「てっきり寝てるのかと思ったよ」
「元の世界にいた頃だったらな。こっちだとそうもいかねぇよ」
「え・・?」
将臣の言葉に望美は首をかしげる。
「こっちは常に武器を持っているからな。いつ襲われるかわからない」
―――特に・・、自分は・・。
還内府である自分は、常に源氏に狙われている。
自分でなくても、一族の誰かが危険にあうかもしれない。
そう思うと簡単に眠れなかった。
寝たとしてもその眠りは浅く、すぐ目が覚めてしまうものだった・・。
それがもう、習慣となってしまっている。
「だから、あんま寝れてねぇんだよ」
「そうなんだ」
望美はそっと将臣の隣へと座る。
「だったらさ、今少し寝ていいよ」
「はっ」
突然の望美の提案に将臣は唖然としてしまう。
「今だったら寝てても大丈夫!!私がいるし」
「けどなぁ・・」
「敵が来たらやっつけちゃうから!!」
「・・・くっ」
だから任せて!!と言う望美に、思わず笑ってしまう将臣。
「もう真剣なのに!!」
「悪い。悪い。だったらそうさせてもらおうかな」
将臣は再び横になると、目を閉じた。
しばらくすると寝息が聞こえる。
望美はその寝顔をじっと見つめた。
「こうしてるのも久々かも・・」
以前だったら、将臣が寝ている姿など当たり前だった。
気がつけば、授業中にも寝ているし・・。
こっちの世界にいる今は、一緒にはいられない。
こうして再び巡りあって、安らかな時を過ごすのは久しかった。
「今だけは・・・このままで」
ずっとこの時が続くといい・・・。
離れ離れになる事が・・・ないように・・。
時間がたって、ようやく将臣が目を覚ます。
「ふぁーー、よく寝た」
「本当に?」
「ああ。サンキュッ。望美」
「!!」
不意に将臣が屈託なく笑う。
その笑顔に望美の胸が熱くなった気がした。
「望美?」
「え・・ううん。そろそろ戻ろうか」
「そうだな」
気がつけば夕暮れになり、2人は歩き出す。
「望美」
「ん?」
「本当に・・ありがとな」
その言葉には、先程より真剣さが含まれていた。
ーー望美はわかっていない。
俺がここまで安心して眠れたのは・・・・。
お前が側にいるから・・・・。
「さて、帰るか」
「あ・・待ってよ」
2人は並んで、歩き出していた。
~fin~
いまだ望美と再会していない将臣は・・・。
あの時に・・伝えたかった・・。
「どうした?還内府殿」
「いや・・何でもねぇよ」
返事をしない将臣に不審に思ったのだろう、仕えていた兵士が問いかけてくる。
そんな将臣に対して・・。
「重盛兄上は何を想いふけっているのか・・興味深いな」
「知盛・・・。その呼び方はやめろ」
「この戦前で忙しい時に、考えているのは『女』・・か」
「・・・・・ちげぇよ」
「まあいい。俺は戦が楽しめればそれでいいからな。頼むぜ、還内府殿」
そう言うと、知盛は将臣の側から離れた。
「全くアイツは・・・」
変に知盛は鋭いから困る。
戦前に想うのは大切に想う人、望美だ。
甘い想いよりも後悔の想いのほうが強い気がする・・・。
「あの時に伝えていればよかったな・・」
側にいた頃に・・・。
それが当たり前だった頃に・・・・。
今はもう会う事すら叶わない。
1人異世界に来てから3年。
望美と弟の譲の生死すらわからない。
本当は3年前のクリスマスに告白をするはずだった。
大分前に望美が好きそうな懐中時計を見つけて・・・。
それを渡すとともに、想いを告げるつもりだった。
その懐中時計も今は・・・・ない。
「これは罰なのか・・」
弟の気持ちもわかっていた。
だが、それを無視して気持ちを告げようとした自分への・・・・。
会えない日々に気が狂うかと思った。
そしてこれからもまだ・・続いていく・・・。
「例え・・、会えても今の俺じゃ・・何も言えないか」
昔とは違う・・・。
何もかもが・・・。
そんな自分が伝えられる想いなど・・・ない。
しばらくして、兵士が近づいてくる・・。
「還内府殿、時間です」
「今行く」いまだ望美と再会していない将臣は・・・。
今はもう、自分の名を呼ぶものはいない・・・。
その名を呼ばれる時はきっと・・・愛しい人と再会する時だから・・。
ED後。千尋の用意が出来るのを待っているアシュヴィンは…。
「おい……まだか?」
「もうちょっと……」
千尋は先ほどから真剣な面持ちで、ソレに挑んでいた。
「もう適当でかまわないぞ」
「ダメッ。ちゃんときちっとやらないと!!」
「そうは言っても、かなり時間が経ってるのだが」
「むぅーーー」
千尋は今までずっと、アシュヴィンのみつ編みを結っていた。
だが、千尋の選定は厳しく、少しでも気に入らないことがあればやり直している。
それを先ほどから散々繰り返していた。
アシュヴィンとしても複雑で、止めさせようとすると千尋は怒ってしまう。
それは避けたいので、アシュヴィンは耐えていた。
「アシュヴィンの髪って結構難しい……かも」
「だから、采女にやらせてもかまない……と」
アシュヴィンがうっかり口を滑らせると、千尋はますます険しい表情をさせていた。
「それって、私だと嫌なの?」
「いや……、そういうわけでは……」
雲行きが怪しくなり、アシュヴィンは内心冷や汗だ。
「一緒にいることが少ないから、せめてって思ったんだけどな……」
「悪かった……」
アシュヴィンの口からは謝罪の言葉しか出てこない。
だが次の千尋の言葉で、アシュヴィンは固まった。
「風早とか那岐とかは器用なのに……」
「待て、何でその2人が出てくる」
「昔、髪が長かった頃、やってもらってたことがあって……」
「2人か?」
「うん。那岐は稀だけど、風早は小さい頃は頻繁にだったな」
「………………」
アシュヴィンとしては、もう困惑するしかない。
あの2人、特に風早が千尋の髪を触れていたことにも腹ただしい。
だが、自分が風早と同じ事を出来るかは疑問だった。
「風早は上手かったのか?」
「うんっ。それはもう笑顔でね。逆に断るとしょんぼりしちゃって……」
「ああ、それは想像できるな」
「でしょう?今日はいいよって言うと『千尋はもう、俺のことが必要じゃないんですね』って」
アシュヴィンはその光景を思い浮かべると、自然と笑みが零れた。
風早の過保護ぶりはその頃から健在で、色々と世話を焼いていたに違いない。
「それが結構あとに引くから、結局はやってもらったりね」
「でもお前も風早と似たような事を言ってるが?」
「あ……」
無意識にだが、それが出ている。
千尋の一歩も譲らないところは、風早の影響かもしれない。
そんな話をしていると、千尋の表情が暗くなっていた。
「ごめん……。アシュヴィン。これからは采女にやってもらったほうがいいのかな?」
「何だ?別に俺は迷惑じゃないぞ」
いきなりの提案に、さすがのアシュヴィンも驚きが隠せない。
「でも、結構強引にやってたよね。付き合わせてごめんなさい……」
「いいさ、たまにはこういう時間も必要なんだろう?それに……」
「それに?」
「こういう話は中々する機会がないからな。もっと聞きたい、お前の話を」
「私の?」
「ああ。せっかくの時間は有意義に使わないとな」
「うん」
千尋は再び、みつ編みに集中し始めていた。
アシュヴィンは穏やかな気持ちで、出来上がるのを待つことにした。
~fin~
千尋は水浴びをするために出かけたが…。
「うーーーん。暑いかも」
今日は少し、気温が高いような気がした。
元々熊野は、普段から気温が高い。
そして千尋は、弓の鍛錬中でもあった。
「流石に、今日は終わりにしようかな」
だが暑さのせいか、服がべったりと身体に張り付いている。
「そうだ。確か森の奥に泉があったよね」
以前も身体をすっきりさせるため、水浴びを泉でしたことがあった。
その事を思い出すと、水浴びが魅力的になってくる。
「よし、決まり」
千尋はそう決意し、泉へと向かった。
「こっちはやっぱり涼しいかもっ」
森に入ると日差しが隠れて、少し温度が下がった気がする。
「確かもうすぐだよ…ね」
千尋は記憶を頼りに、その場所へと向かう。
目指す方向から水の音がしたので、確信に変わる。
「よしっ!!着いた」
千尋は、光が差す方へと到達した。
その場所には以前とは変わらず、確かに泉があった。
「………え……」
けれど、千尋はその場所から動けなくなってしまった。
泉の真ん中には、既に先客がいた。
その姿は、何故か異様なまでの美しさを放っている。
千尋が固まっていると、相手が気づいた。
「ん……?…お前か」
「あ……アシュヴィンッ!」
それは先日までは敵であり、今は味方であるアシュヴィンだった。
「何だ。お前も水浴びしに来たのか?」
「!!っ」
千尋はようやく今の状況を思い出し、アシュヴィンに対して背中を向ける。
「なっ、何やってるのよ!!」
「水浴びに決まってるだろう」
「何で裸なのよっ!」
「服を着たままで、泉に入る奴はいないだろう」
アシュヴィンの言葉は正論なのだが、千尋は動揺して上手く頭が回らない。
(何で、こんなに恥ずかしいの)
最初にアシュヴィンを見た時は、驚いて動けなかった。
だが、意識してしまうと一気に千尋の体温が上がる。
おかげで、今はアシュヴィンの事が直視出来ない。
そんな千尋に対し、アシュヴィンは…。
「……お前。敵であった俺に、簡単に背を向けていいのか?」
「!!…今は敵じゃないでしょ。それにアシュヴィンだって……」
「俺が?」
「アシュヴィンだって、武器も持たずに水浴びしてるじゃない。危機管理がないわ」
これは以前の自分が、忍人に言われたことだった。
「ふっ……。だったら試してみるか?」
「え…?」
「武器も持っていない今の俺なら、お前でも簡単に倒せるんじゃないのか?」
「なっ…何でそんな事っ」
「お前がそういうのなら、俺に傷の1つでも作ってみろ。俺を敵としてな」
「!!!」
明らかに自信満々で言うアシュヴィンに、千尋は少し腹が立つ。
「いいわ。わかった」
「やってみろ」
千尋は弓をアシュヴィンに構える。
(今のアシュヴィンなら…)
そう弓をアシュヴィンに引いた瞬間―――。
――ザバッ
「!!」
アシュヴィンの姿が一瞬で消えた。
「え!?」
向けた弓は、泉へと消えていく。
(嘘ッ。泉に潜ったのっ)
これでは、アシュヴィンがどこにいるか見当がつかない。
そんな事を逡巡していると、一気に千尋の身体が傾いた。
「隙ありだな」
「!!!」
気がつけば、アシュヴィンが千尋の身体を押し倒している。
そしてアシュヴィンは、千尋の両手を片手で押さえ、身体は覆いかぶさっている。
これでは完全に身動きが出来ない。
「な……何で」
「これくらいの事は、出来て当然だ」
「!!」
アシュヴィンに指摘され、千尋は圧倒的な力の差を思い知った。
「こんな状況で、お前は不利だな」
「どういうこと…?」
「今のお前は俺に何をされても、文句が言えない」
「……っ!!」
アシュヴィンに指摘され、途端に千尋は怖くなった。
今のアシュヴィンの姿は裸で、千尋は身動きが出来ない。
それは、アシュヴィンがいつ、自分を襲ってもおかしくはないのだ。
「それも楽しいかもな」
「…!!」
アシュヴィンが千尋を解放するなど、甘い考えだった。
その視線は、明らかにいつもとは違う。
本当なら泣き出したい気持ちで、いっぱいだ。
けれど…。
(今、私の目の前にいるのは……。敵!!)
千尋はアシュヴィンの目線から逸らさず、じっと見つめる。
「どうした?助けを請わないのか」
「私は……、あなたに屈服しないっ。例え身体が支配されようとも、心までは……」
「…………」
アシュヴィンは、何も言わずにただ千尋を見つめる。
千尋は一向に視線を逸らさずに、アシュヴィンを見つめた。
(まいったな……)
てっきり、千尋は泣き喚くのだと思っていた。
そして自分を嫌うのではと……。
それなら、自分のものにしてしまおうとも…。
けれど、千尋は最後まで足掻く。
力の差があろうとも、決して諦めない。
本当は怖いはずなのに。
「くっ……」
「なっ。何がおかしいのよ」
「流石は、二ノ姫…といったところか?」
アシュヴィンはその手を解放し、身体を起こした。
「アシュヴィン…?」
「俺は、無理強いは好きじゃないからな」
「……」
アシュヴィンの雰囲気が変わった事に、千尋は安堵する。
そして、自分の甘さを思い知った。
「これが敵なら、途中で止めてくれないぞ」
「ええ……。わかったわ」
千尋はその身に受けて、ようやく事の重大さに気づいた。
油断が時には致命傷になる。
それをアシュヴィンによって、気づかされた。
「これに懲りたら、少しは自覚しろ」
「うん……」
アシュヴィンの言葉は厳しいが、正しい。
千尋はアシュヴィンを見つめる…が。
「!!…さっさと服を着てっ」
「何だ今頃…?」
「いいから!!」
千尋はようやく、アシュヴィンが裸である事を思い出した。
だが先程の事もあり、背中を向けるのは躊躇った。
紅くなる千尋に、アシュヴィンは呆れる。
先程の勇ましさは、どこに消えたのか、と。
「仕方ないな…。あっちを向いてろ」
「う…うん」
千尋は再び、アシュヴィンに背中を向けた。
アシュヴィンの衣擦れの音に、千尋は動揺しながらも、会話を続ける。
「全く、よくわからない女だな」
「だって…。普通は無理だよ」
「男の身体を、見た事がないんだろう?」
「!!」
人を馬鹿にしたようなアシュヴィンに、千尋はムッとした。
思わず、反論してしまう。
「別に、無い訳じゃないわ」
「………………」
その言葉は嘘じゃない。
実際、風早と那岐とは幼い時から一緒に暮らしていたし、現代でも体育とかプールとかで、そういう場面はあった。
だが、アシュヴィンがそれをわかるはずもなく…。
「そうか。それは面白くないな」
「え……?」
アシュヴィンは、千尋の身体を自分に向けさせる。
「な…何っ?…んんっ……」
そして一瞬の隙をついて、その唇を塞いだ。
「ふっ……。んっ…。」
千尋はその口付けから逃れようとするが、アシュヴィンの腕がそれを許さない。
千尋もまた、強く抵抗は出来なかった。
そしてようやく解放される。
「い……いきなり…何…?」
「口付けは初めてだったか?ん?」
「!!!」
千尋は何も言えずに黙り込み、アシュヴィンはその様子を見て満たされた。
「ば……馬鹿っ」
「くっ……。お前は本当に面白い奴だな」
顔を紅くする千尋に、アシュヴィンはただひたすら笑っていた。
そんなある1日の出来事。
~fin~
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プロフィール
HN:
文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
同人活動も行っています。
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